虫おくりは、約300年前から伝わる稲虫退治の行事で、夏至から数えて11日目、
太陽の黄経が100度になる半夏至の日に、虫除けと豊作を願って行います。
もともとは、江戸時代にイナゴの大発生で飢饉が起こり、100万人近い人が
餓死したことから始まったそうです。
半夏生の日、小豆島霊場第46番札所の多聞寺では、太陽からレンズで火を採り、
夕方6時頃からは多聞寺本堂の燭台に灯して虫除けと五穀豊穣を祈願した後、
虫塚で稲の虫を供養します。
その後、肥土山離宮八幡神社に移動し、手作りの火手(ほて)に火を移して、あぜ道にかざし
ながら田んぼの中を練り歩きます。
昔は農村地帯が続く中山、肥土山、黒岩、上庄と、村ごとにリレー方式で虫おくりを海まで繋ぎ、
海のかなたに虫を追い払っていましたが、肥土山だけの伝統行事となった今は、海に繋がる
伝法川の蓬莱橋から川に落として海へと繋いでいます。
火手(ほて)は1つ1つ手づくりします。昔は麦わらで作っていましたが、
今は竹に針金を巻いた頑丈なものが中心です。
真ん中に布を挟み、うまく燃えるように工夫しています。